痴漢を疑われDNA鑑定を要求された!拒否しても大丈夫なのか?

痴漢冤罪に巻き込まれ、実際に警察官に逮捕される段階にまで進んでしまうと写真撮影や指紋採取、さらにDNA鑑定などを行われてしまうことがあります。
そもそも冤罪で自分は犯罪者でもなんでもないのですから、そういった情報を警察に把握されるなんてことはできれば避けたいことですよね。
問題は拒否をしても問題がないのか(後から裁判で不利になるようなことはないのか)ですが写真撮影や指紋採取に関しては「逮捕」という刑事手続に含まれていることなので、逮捕状が出ている以上は拒否することができません。
(根拠としては刑事訴訟法218条3項という法律があります)
しかし、結論からいうとDNA鑑定についてだけは別で,求められても拒否することが可能です。
というのも、DNA鑑定については上の刑事訴訟法の条文にいう「逮捕」という手続きには含まれていないからです。

1.「ついでにDNA鑑定もやらせてよ」といわれも拒否しよう

実際は 警察官は写真撮影や指紋採取をした後に 「ついでにDNA鑑定もやらせてほしい」というようにさらりと確認を取ってくるケースが多いようです。

確認をとってきたことに「はい」と答えてしまうと、任意の捜査依頼に対して同意を与えたことになってしまいます。

警察側としては被疑者側の同意を得ることができれば DNA鑑定のための別の捜索令状をとることを省略することができますから手っ取り早いというわけですね。

DNA鑑定の結果として「現場で採取したDNAと あなたから採取したDNAが一致し
ました」といわれると 私たちの側としては反論のしようがなく 決定的に不利な立場に置かれてしまう可能性があります。しかも、次で説明させていただく通り、もしDNA鑑定の結果ではあなたは「シロ」だったとしてもそのことからただちに無罪が証明されるようなことはありません。

2.DNA鑑定の結果として何も出なくても、何の得もない

受けることに同意してしまった結果として行われるDNA鑑定で 例えあなたが「シロ」という結果が出たとしても、あなたにとって得をすることは何もありません。

DNA鑑定の結果として物的な証拠が見つからなかったとしても、そのことがあなたが痴漢をしていない根拠とみなされることはないためです。

しかも DNA鑑定の結果として何らかの形であなたのDNAが被害者の衣服から検出されてしまったりすると、決定的に「クロ」として扱われてしまいます。

捜査機関側としては「DNA鑑定の結果として何か証拠が出れば結果オーライ」ぐらいの感覚でDNA鑑定を行います。

結論的にあなたとしてはDNA鑑定を受けることに同意するメリットは何もないものと考えておく必要があります。

3.まとめ

今回は、痴漢冤罪で警察官からDNA鑑定を求められた時の対策について紹介させていただきました。

結論的に、痴漢を疑われている側としてはDNA鑑定を受けるメリットは何もないということが言えます。

警察官に逮捕されてしまった場合、写真撮影や指紋採取は拒むことができませんが、DNA鑑定については拒否することが可能です。

警察はなにげない形で同意をするようせまってきますので、安易に行動してしまってはいけません。

判断に迷った場合には、刑事弁護を扱っている弁護士にアドバイスを求めるようにしましょう。