今考える男性専用車両は必要か否か?

個人できる痴漢対策だけではなく、鉄道会社でも痴漢は非常に問題視していて、女性専用車両や啓発活動、さらに、今後は車内の防犯カメラが広がっていく動きがあるなど、様々な対策を講じていることが分かりました。

■男性の痴漢リスクとは

今まで女性目線で見てきましたが、痴漢に関して問題に感じているのは女性だけではないようです。
一つは男性への痴漢被害。2000年代初頭から、各都道府県の迷惑防止条例の対象は男性も含まれるように改正されていきました。ただし、男性の被害者の件数が警察などの統計に上がってくるというところまではないために、現状でどれぐらいあるのかという所までは不明です。
もう一つは痴漢の冤罪です。勘違いならまだしも、意図的な痴漢詐欺という形で巻き込まれ、多額の示談金を支払わされるというケースもあるようです。
そのため、痴漢をしない男性にとっても、特に満員電車に乗る時には何らかの形で痴漢に巻き込まれるリスクというものを追っていると言えそうです。

■痴漢の冤罪リスクのために男性専用車両?

「満員電車に女性と一緒に乗っていなければ痴漢の疑いをかけられる心配もない」、「女性専用車両があるなら男性専用車両もあるべきだ」などの理由から最近では鉄道会社に男性専用車両の導入を求める団体もあるようで、新聞などでも取り上げられています。
さらに、この運動に賛同して参加するという所にまでは至らないまでも、趣旨には賛成するという人は男女問わず多いようです。
確かにリスクを負いたくない男性にとしては、もし男性専用車両があれば安心して満員電車に乗ることができそうですね。
しかし、これに実現性はあるのでしょうか?

■男性向けの痴漢対策までには至らず

多くの人の賛同を得ている男性専用車両ですが、実際の導入の動きはまだないようです。
おそらく、以下のような理由ではないでしょうか。
まず、冤罪対策よりも痴漢防止などの対策を進める方が急がれているということです。特に東京では2020年にオリンピックを控え、鉄道での防犯対策が急がれていて、その中に防犯カメラの整備などという流れにあります。
痴漢の疑いをかけられる男性にまで配慮するという段階にはまだ至らないのではないでしょうか。
次に、いくら満員電車の時間帯とは言え、そこに乗るのは日常的に電車に乗ることに慣れている通勤・通学客だけではありません。特に東京では観光客なども多く、女性専用車両や男性専用車両などと区別があると地方や海外から来た人などにとっては非常に分かりにくい乗り物となってしまいます。
ということで、男性専用車両は必要とは考えられるも のの実際の導入には多くの課題があるというのが今のところの結論のようです。