盗撮用カメラを発見してしまったら
盗撮用のカメラを見つけてしまったら、気が動転して「どう対処すれば良いのか」と戸惑うこともあるでしょう。カメラがどこに設置されているかによって、対処方法や対応する法令は違ってきます。
店舗や学校、会社のトイレや公衆トイレなど、公共の場に設置されている場合には、すみやかにその場を離れて施設の管理者や警察に連絡することが大切です。自宅に設置されている場合は、明かりを消すかカメラに布を被せるなどして、それ以上覗かれることを防いでから警察に通報しましょう。カメラを見つけたのが女性で、そのカメラで盗撮された可能性がある場合には、中に何が映っているかと気になって羞恥心から取り外してしまいたい気持ちになるのは当然です。
しかし、慌ててカメラを壊したり取り外したりしてはいけません。カメラは犯人を見つけるための大事な証拠となるのです。犯人が捕まらない限り、再び盗撮されるのではないか?という恐怖から逃れることができません。盗撮に関わる主な法令としては、軽犯罪法と都道府県の迷惑防止条例があります。
(警視庁サイト:迷惑防止条例)
軽犯罪法とは
軽犯罪法は軽微な秩序違反行為を取り締まる法律で、正当な理由がなく「普通人が衣服をつけないでいる場所」を覗き見ることを禁止しています。
覗き見るという行為自体を問題としており、たとえ覗き見た先が無人でも罪に問われます。一方、迷惑防止条例は都道府県で定める条例なので、都道府県によってその正式名称や内容は一様ではありません。
普通衣服をつけていると考えられる公共の場での盗撮は、軽犯罪法ではなく迷惑防止条例によって取り締まられるのが一般的です。迷惑防止条例違反は親告罪ではなく、被害者の告訴がなくとも公訴を提起できます。
また、盗撮器設置のために住宅や特定の施設へ不当に侵入した場合には、住居侵入罪や建造物侵入罪にも該当することになります。店舗や学校のトイレなどで盗撮用カメラを見つけた場合、その事実が表沙汰になることで店舗の信用に傷が付いたり責任問題に発展したりするおそれがあり、それを回避するために穏便に済ませようと考える人がいます。
しかし、そうした対応が罪に問われるケースも起こっています。2017年に発生した事案では、学校内で1教諭が盗撮していたことに校長が気づいていたにもかかわらず、警察に通報せず証拠の動画を削除したとして、犯人隠避と証拠隠滅の罪で書類送検されています。
盗撮は被害者を傷つけ、公共の秩序を乱す、れっきとした犯罪であり、それを隠すことも犯罪になることがあるのです。
多様化する盗撮被害
盗撮カメラをはじめ、盗撮グッズは飛躍的な進化を遂げ、軽量で安価になっていることから気軽に盗撮へと手を染める人も増えています。
このような卑劣な犯罪を野放しにしないためにも、盗撮カメラを見つけたら速やかに警察へ通報しましょう。盗撮カメラを発見する機器や、発見するための手順などに関する情報はネット上に多く掲載されているので、こうした知識を賢く利用して盗撮の被害に遭わないように自衛することも大切です。
しかし、万が一盗撮の可能性を感じたら、信用できる弁護士などに相談してみるのも一つの方法です。カメラに写っている内容が気になってしまうこともあるでしょうが、信用できない探偵などに取り外しを依頼すると、さらに被害が拡大する危険もあります。
まずはいったん冷静になってから、適切な対処方法をとるように心がけましょう。