刑事事件で裁判になると、被告側、検察側に分かれて主張をし合うことになります。そこでの弁護士の存在は非常に大きく、刑事手続きの進行が検察や裁判所で行われる際、様々な手段を用いて抵抗をしたり、被害者との示談交渉などを行います。
特に示談交渉は当事者間ではほとんど成立しないため、将来的に刑の軽減などを考える場合には、弁護士にそのあたりのことを任せるのがセオリーです。そんな中、私選弁護と国選弁護という2つの存在があることに気づきます。それぞれにどのような違いがあるのか、知っておきたいところです。
私選弁護士
私選弁護士は、被疑者や被疑者の家族などが選んで選任するものです。メリットとしては、逮捕段階、もっと言えば、逮捕される可能性が濃厚という段階から弁護を依頼することができることです。
場合によっては、逮捕を避けることができるように、逮捕前に示談交渉をしたり、警察の勾留、任意の事情聴取などを防ぎ、簡単には身柄を引き渡さないということもできるようになります。
国選弁護士
国選弁護士の場合は裁判所が選任するため、勾留されてからの決定となることもあり、対応が若干遅れてしまうこともあり、そのあたりに違いがみられます。
メリットデメリット
次に、私選弁護士は被疑者自らが選定できるため、被疑者が弁護内容を気に食わないとなれば、解任をすることができます。それで別の人に切り替えることもできることから、方針が変えて弁護をしてくれる人を変えるということも行われています。
一方、裁判所が選定する場合、たとえ被疑者が変えてほしいと思っていてもそれを判断するのは裁判所であるため、弁護に関して何ら問題がない場合であれば、わざわざ被疑者のために変えるということはしません。そのあたりの良し悪しは大きく分かれますが、自費で雇うかそうでないかはかなりの違いです。
国選弁護士のメリットですが、被疑者の費用負担が行われないことがあるというのがその1つです。基本的に訴訟費用としてこれらの費用を裁判所が請求することになりますが、被疑者、被告人が訴訟費用を満足に払うこともできない場合、免除を許すことがあります。
そのため、生活が困窮している人が被疑者、被告人になったとしても、それを裁判所が確認し、免除を認めることがあるため、安心して裁判を受けることができます。国が費用負担をしてくれるため、弁護を担当した人物に報酬が支払われないわけではありません。
昔から、被疑者、被告人の支援者がカンパを集めて弁護をする人を探すということも行われており、刑事事件などではいかに支援者を集め、腕利きの人にお任せして無罪を勝ち取るかというのが当たり前のように行われています。
そのため、生活が困窮していたとしても、明らかに無罪の可能性があるという場合は有志の人々が立ち上がることもあります。また刑事事件に詳しくない人が選任されることもあり、結果的にそれが罪刑を左右することもあることから、注意が必要です。